エッセイで読む:スウェン博江の陶芸世界

Essay by グレース・コクラン

日本大使館での個展 キャンベラ、1972年 豪州で創作した作品を初めて展示して大きな成功を収める / Australian News and Information Bureau 撮影

オーストラリアのヒロイン
豪州陶芸界におけるスウェン博江の功績を考える

スウェン博江(旧姓武部)は、50年以上にわたって、オーストラリアで陶芸に携わる人たちの主要なインスピレーションの源となってきた。

Essay by 味岡千晶

スウェン博江17歳 京都市の堀川高校で油絵を本格的に学んでいた頃/スウェン博江写真提供

渡豪前のスウェン博江

1950年代まで

 スウェン博江は、1934年(昭和9年)に、武部家の長女として京都に生まれた。両親とも代々京都に住み、父親は板金業、母親は和裁を教え、母方の曽祖父と祖父は二代で染めと呉服を商っていた。

Essay by アラン・ワット

スウェン博江とワット、アラン。二人は20年近く、共にキャンベラ美術学校の陶芸科をリードする存在として多くの学生を育てた/ David Williams 写真提供

スウェン博江との出会い

私がスウェン博江の作品に初めて出会ったのは1968年4月、メルボルンのヴィクトリア国立美術館で開催された、オーストラリアを代表する陶芸作家を集めた展覧会に彼女が参加したときのことだが、それは偶然にも、オーストラリアで開かれた彼女の最初の展覧会だった。

 

Essay by メレディス・ヒンクリフ

1988年に再建されたパストラルギャラリーの平面図/スウェン・コーネル作図

パストラル・ギャラリーの歴史

コーネルと博江は、ニュー・サウス・ウェールズ州クィンビアンの郊外にパストラル・ギャラリーを建設、運営した。アーティストが主宰する画廊の先駆けであり、このギャラリーは高い評価を受け、30年にわたって成功を収めた。


フォトアーカイブ写真

 日本語説明付き

Essay by メレディス・ヒンクリフ

1970年代 スウェン博江 作陶中 / ギャブ・カーペイ撮影

陶芸作家 スウェン博江 略歴

1934年にスウェン博江は京都で生まれた。幼い頃から好奇心と独立心が旺盛だった。川遊びがしたくて、友だちを誘ってふたりで幼稚園をさぼったこともあった。